1. 【初動が命】一人親方が教える住宅の緊急補修テクニック
災害直後の48時間は二次被害を防ぐ重要な時間帯。ここでの対応が家を守るかどうかを分けます。以下は現場で実践されている応急処置の要点です。
屋根(ブルーシートの正しい固定)
シートは四隅だけでなく1m間隔で細かく固定することが重要。土嚢や水を入れたペットボトルを重しにして風で飛ばないようにします。釘や画鋲は屋根材を傷めるため避けましょう。
壁・内部の水濡れ対策
石膏ボードが濡れた場合は速やかに乾燥させ、壁紙が膨らんだ部分は小さな穴をあけて水を抜くと乾燥が早まります。扇風機や除湿機を活用してください。
床下浸水への対応
床下点検口から除湿機を入れるか、小型扇風機で空気循環を作る。床下の乾燥には通常2週間程度は見込む必要があります。
電気系統の安全確認
濡れた状態での通電は火災リスクが高い為、専門家の確認が取れるまでブレーカーを上げないこと。配線やコンセントが濡れている場合は絶対に通電しないでください。
建具の緊急対処
水で膨張した玄関ドアはヒンジに潤滑を差すことで開閉できることがあります。無理に力を加えると破損するため慎重に行ってください。
応急処置はあくまで一時的な対応です。安全を最優先に、危険がある作業は専門業者へ依頼しましょう。
2. 熊本地震から得た「災害に強い家づくり」の最新ノウハウ
現場の経験から見えてきた重要ポイントは、基礎・構造・建材・設備の四つの分野に集約されます。
- 基礎:布基礎からベタ基礎へ。地盤調査を確実に行う。
- 構造:耐力壁や筋交いを均等に配置し、偏った力がかからない設計にする。
- 建材:繊維強化セメント板など、軽量で耐震性に優れた外壁材を採用。
- 設備:分電盤の高所設置・給水設備の分散配置で浸水リスクを分散。
これらは熊本地震の教訓を活かした実践的な改善ポイントで、地域の気候や地盤特性に合わせた設計が重要です。
3. 台風シーズン前に必ず行うべき点検ポイント
台風前の点検は被害軽減に直結します。以下をチェックしてください。
- 屋根:瓦のズレ・浮き、棟瓦の状態を地上の双眼鏡で確認
- 雨樋:落ち葉や泥での詰まり、固定金具の緩みを清掃・補強
- 外壁のひび割れ:小さな亀裂でも雨水浸入で内部腐食へ進行
- 窓:飛散防止フィルム、雨戸の動作確認
- 敷地内の樹木:枯枝や倒木リスクのある木は事前に剪定
定期点検と小さな修繕の積み重ねが、災害時の被害を大幅に抑えます。
4. 工事賠償責任保険(工事賠責)の重要性 — 一人親方にとっての必須装備
災害対応の現場は混乱が付き物。作業中の落下物や応急処置の失敗で近隣に損害を与えるケースが増えています。工事賠償責任保険はその“賠償リスク”をカバーします。
カバーされる代表的な事例:
- 作業中に落下した資材で隣家の窓が破損した
- ブルーシートの固定が外れて雨漏りを誘発した
- 工具が飛散して通行人が負傷した
九州は台風・強風が多く、現場での不測の事態が起きやすい地域です。月額数千円程度で加入できる保険で、数十万〜数百万円規模の賠償請求リスクを軽減できます。被災対応で忙しい時期ほど、保険に入っているかどうかで事業継続性が変わります。
一人親方として活動するなら、まず加入を検討してください。業務内容に応じた補償額、免責金額、保険適用範囲を確認のうえ選びましょう。





















