1. 一人親方の確定申告でよくあるミスと回避法7選

 
個人事業主である一人親方の確定申告は、サラリーマンの給与所得の申告よりも複雑です。ここでは、特に建設業で多い7つの失敗例と回避法を紹介します。

• ① 事業所得と給与所得の区別ミス
  基本的には「事業所得」で申告しますが、現場によっては雇用に近い形態で「給与所得」と判断される場合もあります。契約形態や仕事の指揮命令関係、就業時間の自由度などを確認しましょう。
• ② 経費計上の漏れ
  工具・安全装備・車両費・通信費などはもちろん、自宅を事務所として使っている場合は家賃や光熱費の一部も経費にできます。領収書は整理・保管を徹底しましょう。
• ③ 消費税の計算ミス
  売上が1,000万円を超えると課税事業者となります。設備投資が多い年は還付の可能性も。簡易課税制度の利用も含めて早めに検討しましょう。
• ④ 青色申告特別控除の要件不備
  65万円控除には複式簿記の記帳と電子申告（e-Tax）が必須。会計ソフトを活用すれば初めてでも対応可能です。
• ⑤ 外注費の源泉所得税の未処理
  外注に支払う報酬の一部には源泉徴収が必要です。納付漏れは延滞税・加算税の対象となるため注意が必要です。
• ⑥ 社会保険料控除の申告漏れ
  国民健康保険料・国民年金は全額控除。小規模企業共済や国民年金基金も対象なので忘れず申告しましょう。
• ⑦ 事業主貸借の混同
  生活費を事業口座から引き出したら「事業主貸」、個人資金を事業に入れたら「事業主借」。区分が曖昧だと正確な利益計算ができません。

ミスを防ぐには、日々の記帳と領収書管理が欠かせません。不安がある場合は税理士や税務署の相談窓口を活用しましょう。
 
 

2. 経費計上の落とし穴！一人親方が見落としやすいポイント

 
確定申告で節税を大きく左右するのが経費計上です。ただし、「どこまでが経費か」を正しく理解していないと、余計な税金を払ってしまうことになります。次の点を押さえましょう。

• 事業との関連性
  経費にできるのは事業に関連する支出のみ。自宅兼事務所は家賃や光熱費を事務所使用分だけ按分します。
• 減価償却の正しい処理
  10万円以上の工具や設備は一括計上不可。耐用年数に応じて減価償却します（例：パソコン4年、電動工具7年の目安）。
• 車両関連費用の按分
  燃料費・車検・駐車場代などは事業使用分のみ計上。走行距離や使用日数の記録を残しましょう。
• 通信費の按分
  スマホやインターネット料金は事業利用割合を算出して計上。通話明細や請求書を保存しておくと安心です。
• 交際費と会議費の区別
  取引先との接待は「交際費」、同業者との情報交換などは「会議費」として扱える場合があります。目的を明確に記録しましょう。
• 作業着や安全装備
  作業着・安全靴・ヘルメットは必要経費として全額計上可能です。
• 専門家への相談料
  税理士や社労士の顧問料・相談料も経費。正確な申告とリスク回避のための投資と考えましょう。

3. 9割が見落とす？一人親方の控除と節税対策

 
経費計上だけでなく、控除を正しく活用することも重要です。建設業の一人親方が特に見落としやすい控除を押さえましょう。

• 青色申告特別控除
  複式簿記＋電子申告で最大65万円の控除が受けられます。帳簿付けと提出方法を必ず整えましょう。
• 小規模企業共済等掛金控除
  掛金（月7万円まで）は全額所得控除。将来の備えと節税を同時に実現できます。
• 事業専従者給与
  家族が手伝っている場合、適正な給与を支払えば経費に計上可能。青色申告なら制限が少なく有利です。
• 消費税の簡易課税等の選択
  年商や原価構成に応じて制度を選べば、事務負担と税負担の双方を軽減できる可能性があります。

まとめ

建設業の一人親方にとって、確定申告は単なる事務作業ではなく、事業を守り収入を最大化するための重要なプロセスです。経費計上のルールや控除の種類を正しく理解し、日々の記帳と証憑管理を徹底することで、合法的に税金を減らせます。

不安がある場合は専