近年、気候変動による自然災害の増加や大規模地震のリスクが高まる中、「災害に強い住宅」への関心が全国的に高まっています。特に台風や豪雨、地震の多い九州地方では、住宅の防災性能が命を守る重要な要素となっています。
私は九州で40年以上、一人親方として数多くの住宅建築に携わってきました。地元の気候風土を熟知し、熊本地震や九州北部豪雨など、実際の災害現場で「なぜこの家は無事だったのか」「どこが弱点だったのか」を自分の目で確かめてきました。
大手ハウスメーカーでは語られない現場の知恵、メーカーカタログには載っていない実践的な工法、そして災害後の復旧作業で見えてきた「本当に強い家」の条件。この記事では、一人親方だからこそ語れる災害に強い住宅づくりの秘訣を余すことなくお伝えします。
これから家を建てる方はもちろん、既存住宅のリフォームや防災対策をお考えの方にも役立つ情報が満載です。九州の厳しい自然環境で培われた住宅づくりの知恵は、全国どこでも応用できる普遍的な価値があります。ぜひ最後までお読みください。
九州地方は台風や豪雨による自然災害が頻発する地域です。私は大工として40年間、数々の災害を目の当たりにし、その経験から培った「本当に強い家」の知識を蓄積してきました。ここでは実際に災害を乗り越えた住宅の共通点をお伝えします。
熊本県阿蘇市の山間部で建てた平屋住宅は、大雨による土砂崩れが近くまで迫る状況でも無事でした。この家の特徴は、基礎を通常より30cm高く設計し、敷地の排水計画を徹底したことです。雨水を効率的に排出する勾配と側溝の設計が功を奏しました。
福岡県太宰府市では、記録的豪雨の際も床下浸水で済んだ住宅があります。ここでは「二重床」の工法を採用し、万が一の浸水時も床下空間で水を受け止める設計にしていました。さらに電気配線を通常より高い位置に配置したことで、電気系統のダメージを最小限に抑えられました。
長崎県島原市の事例では、強風対策として「筋交い」を通常の1.5倍入れ、屋根材の固定も通常より強化した住宅が、風速30mを超える台風でも無傷でした。棟瓦の固定に特殊な接着剤を使用し、飛散を防いだのが効果的でした。
これらの家に共通するのは、地域の気候特性を熟知した上での設計です。例えば、鹿児島県では火山灰対策として屋根勾配を急にし、降灰を自然に落とす工夫をしています。また、沿岸部では塩害に強い素材選びが重要で、宮崎県の海沿いの住宅では、耐塩害仕様の金具と防腐・防蟻処理を徹底した木材を使用しています。
一般的な設計基準をただ満たすだけでなく、その土地の災害リスクを細かく分析し、対策を講じることが真の災害に強い家づくりの秘訣なのです。九州の厳しい気候風土で培った知恵は、これからの日本の住宅づくりの大切なヒントになるはずです。
熊本地震は多くの家屋に甚大な被害をもたらしました。しかし、その中でもほとんど被害を受けなかった住宅があります。一体どんな違いがあったのでしょうか?私が現場で見てきた経験から、災害に強い住宅の秘訣を5つご紹介します。
1. 基礎工事を徹底する
住宅の強度は基礎から決まります。地震に強い家づくりの第一歩は、地盤調査を丁寧に行い、その土地に合った基礎工事を施すことです。熊本地震では、ベタ基礎を採用した住宅の被害が比較的少なかったというデータもあります。液状化が懸念される地域では、地盤改良や杭打ち工事も検討すべきでしょう。
2. 構造材の接合部を強化する
家が倒壊する原因の多くは、柱と梁の接合部の破損です。金物による補強や筋交いの適切な配置が重要です。特に九州の伝統工法「追掛大栓継ぎ」などの技術を現代の金物工法と組み合わせることで、粘りのある構造体を実現できます。
3. 耐震等級3を目指した設計
建築基準法の1.5倍の強度を持つ耐震等級3の住宅は、熊本地震でも高い耐震性を示しました。壁量計算をしっかり行い、バランスよく耐力壁を配置することが大切です。住友林業や積水ハウスなどのハウスメーカーも耐震等級3を標準としている例が増えています。
4. 屋根を軽量化する
重い瓦屋根は見栄えが良く風にも強いですが、地震の際には建物への負担が大きくなります。ガルバリウム鋼板やコロニアル屋根など軽量な屋根材を選ぶことで、上部の重量を減らし地震の揺れによる影響を軽減できます。
5. 可動部分の耐震対策
窓や引き戸などの開口部は地震の際に変形しやすい箇所です。耐震サッシや耐震ドアを採用することで、地震時の開閉トラブルを防ぎます。また、熊本地震では避難経路が確保できず救助が遅れたケースもありました。複数の避難経路を確保する間取り設計も重要な対策です。
これらの対策は新築時に取り入れるのが理想的ですが、既存住宅でも耐震リフォームによって強度を上げることが可能です。福岡市や熊本市など自治体によっては耐震診断や耐震改修に補助金が出る制度もありますので、積極的に活用しましょう。災害に強い住まいづくりは、家族の命を守る最も重要な投資なのです。
災害大国日本で暮らす私たちにとって、住宅の耐震性や耐久性は命を守る重要な要素です。特に九州は台風や豪雨、地震など多くの自然災害に見舞われてきました。一人親方として20年以上建築業界に携わってきた経験から、本当に災害に強い建材をランキング形式でご紹介します。
【第1位】構造用合板+制振ダンパー
最も信頼できる組み合わせは構造用合板と制振ダンパーです。構造用合板は厚さ12mm以上のものが理想的で、特に国産のヒノキやスギを原料とした合板は耐久性に優れています。大手メーカーのカネカや住友林業の制振ダンパーと組み合わせることで、地震の揺れを最大70%軽減できるデータがあります。ただし、コストは一般的な工法より15〜20%高くなる点は覚悟が必要です。
【第2位】耐力面材付き軽量鉄骨
軽量鉄骨と耐力面材の組み合わせは、台風や豪雨に特に強さを発揮します。日鉄建材やJFE建材の製品は安定した品質で信頼性が高いです。実は、大手ハウスメーカーが自社製品として高額で販売している工法の多くは、これらメーカーのOEM製品であることはあまり知られていません。一人親方ならメーカーから直接仕入れることで、同じ品質をより安価に提供できることもあります。
【第3位】CLT(直交集成板)
環境にも優しく強度も抜群なのがCLTです。銘建工業や協同組合レングスのCLTは品質が安定しています。ヨーロッパでは主流の建材ですが、日本では価格と流通の問題で普及が遅れています。しかし、施工性の良さから今後注目の建材です。断熱性も高く、住宅の長寿命化にも貢献します。
【第4位】高性能コンクリート
耐火性能で選ぶなら、太平洋セメントやデイ・シイのような老舗メーカーの高性能コンクリートが優れています。一般的に思われているより施工の質に差が出やすい建材です。同じ製品でも、施工者の腕で耐久性に20年以上の差が出ることもあります。
【第5位】ガルバリウム鋼板
外装材として優れているのが日新製鋼やアイジー工業のガルバリウム鋼板です。実は同じガルバリウムでも、メーカーによって亜鉛・アルミニウムの配合比率が異なり、耐用年数に大きな差があります。メーカーカタログには書かれていない、優良品の見分け方は「切断面の処理方法」を確認することです。
業界の裏話としては、大手ハウスメーカーの「独自開発」と謳われている建材の多くは、実は上記メーカーの製品をリブランドしたものであることが少なくありません。一人親方として施主と直接やり取りできる立場だからこそ、中間マージンを削減し、本当に必要な部分にコストをかけた住宅づくりが可能になります。
災害に強い家づくりで最も重要なのは、高価な建材を使うことよりも、適材適所で建材を選ぶこと。地域の特性や予算に合わせた最適な組み合わせを提案できるのが、地元に根ざした一人親方の強みと言えるでしょう。
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名称
九州労災一人親方部会
理事長
中村 和美
許可
厚生労働大臣熊本労働局承認
加入員資格
熊本県・宮崎県・大分県・福岡県・佐賀県・長崎県・鹿児島県にお住まいの建設工事に従事する一人親方とその家族従事者
所在地
《本部》
〒860-0806 熊本県熊本市中央区花畑町1-14
A&M HANABATA301号
《岩槻事務センター》
〒339-0057 埼玉県さいたま市岩槻区本町6-1-32
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