マンション大規模修繕に必須!工事保険でトラブルを防ぐポイント
マンションの大規模修繕工事は多額の費用と長期間を要する大きなプロジェクトです。工事中は事故や近隣トラブルなど予期せぬ出来事が起きやすく、追加費用や工期延長といった大きなリスクを伴います。こうした不測の事態から管理組合と居住者を守るために欠かせないのが「工事保険」です。
本記事では、工事保険の基本、実際にあったトラブル事例と対策、失敗しない保険選びのチェックポイントをわかりやすくまとめました。管理組合の理事長や修繕委員の方に役立つ実務的な内容です。
工事保険の基本と必要性
工事保険とは、建設工事中に発生するリスクをカバーする保険の総称です。マンション大規模修繕で特に重要な保険は次の2種類です。
- 建設工事保険:工事対象物や資材などの物的損害を補償。
- 請負業者賠償責任保険:第三者に与えた人身・物損事故の賠償責任をカバー。
足場崩落や工事中の火災などが発生した際に、適切な保険があれば管理組合の財政負担を大きく軽減できます。工事保険は「資産価値」と「居住者の安全」を守るための投資と考えましょう。
実際に起きたトラブル事例と対策
事例①:足場からの落下物で車両を損傷
工事中に工具が落下して駐車中の車を破損。修理費50万円が発生しましたが、保険の補償が不十分で管理組合が一部負担することに。
対策:工事契約前に保険証券を確認し、第三者賠償責任保険の限度額(1事故あたり1億円以上が望ましい)や免責金額をチェック。
事例②:台風で足場が倒壊、外壁に損傷
台風で足場が倒れ外壁が広範囲に損傷。施工会社の保険が「自然災害」を免責としていたため約800万円の追加費用が発生しました。
対策:自然災害も補償されるかを確認し、必要なら特約を追加する。工事時期の見直しも検討。
事例③:工事完了後に雨漏りが発覚
工事完了から1年後に防水不良で雨漏りが発生。施工会社に生産物賠償責任保険がなく、補修費300万円で訴訟に発展。解決までに長期間を要しました。
対策:生産物賠償責任保険や瑕疵担保責任保険の加入を確認し、保証期間が十分か(最低2年以上が望ましい)を確認すること。
保険選びで失敗しないためのチェックポイント
- 複数の保険を組み合わせる
建設工事保険・請負業者賠償責任保険・生産物賠償責任保険など、リスク別に補償を組む。 - 保険証券の事前確認
契約前に保険証券のコピーを取り寄せ、保険ブローカーやマンション管理士に内容を確認してもらう。 - 補償範囲と免責事項の把握
免責条項や特約の有無、自然災害の扱いを詳細にチェックする。 - 実績ある保険会社を選ぶ
東京海上日動や三井住友海上など、大規模修繕の実績が豊富な大手損保の商品の検討を推奨。
工事保険の費用は一般に工事費の1〜2%程度です。小さな負担で数千万円〜数億円規模のリスクを軽減できる可能性があるため、管理組合にとっては費用対効果の高い投資になります。
まとめ
大規模修繕は数千万円〜億単位の費用を伴う重要な事業です。管理組合は施工会社任せにせず、保険の内容を主体的に確認・検討する姿勢が不可欠です。工事開始前に適切な保険を整えることで、居住者の安心と工事の円滑な進行を確保できます。
まずは保険証券のコピーを取り寄せ、専門家と一緒に補償内容を精査することをおすすめします。万一に備える保険選びが、大規模修繕成功の第一歩です。